ISBN:4062749858 文庫 井上 夢人 講談社 2005/02 ¥860

バイトをしながらバンド活動を続けていた片桐稔は、ある日インディーズでCDを制作し、そのCDを姉のところに持っていったところ、姉は何者かに襲われており、稔も犯人に襲撃されてしまう。

姉は結局犯人に殺され、稔は何とか命をとりとめた。
しかし1ヶ月間意識不明で、目覚めると、稔は傷の後遺症か、なぜか通常の匂いを失い、犬なみのスゴい嗅覚を得ていた。
しかも、匂いが視覚となって見えるように!

その頃、バンド仲間のミッキーがなぞの失踪をとげていた。

最初は見える匂いにとまどった稔だったが、だんだんバンド仲間でもある彼女のマミなどの協力を得て、特殊な嗅覚を頼りに、ミッキーの失踪や姉を殺した犯人をつきとめようとしだす!
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犬並の嗅覚で、さらに匂いが見えるなんて、
なんてドキドキな小説なんだろう・・・!
って思い読みはじめましたが、SFやスリラーというより、
なんだか「愛の物語」でした。

そのへんは、井上夢人の「ダレカガナカニイル…」と共通するところだね。
しかも、なんか胸がキュンとなるような純粋でさりげない愛。

そして、ちょっぴり青春のにおいのする作品でした。
地面に残るニオイを集めるために「嗅探棒」なるものを作ったりしますが、そんなところが、なかなか若いプーの雰囲気が出ててグー。

私がもし作家だったら、稔のスーパー嗅覚を活かして、バンバン続作を作っちゃいそうだけど、
稔は嗅覚とひきかえに視力を失ってしまったので、それは無理そうだな。
なんだかそんなところも、キュンとなっちゃう作品でした。

くろちゃんの満足度(満点は★5つ):★★★★

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