ISBN:4594014275 文庫 F.P.ウィルソン 訳:白石 朗 扶桑社 1994/05 ¥530

マンハッタンのホテルから、看護婦をしていた女性・ケリーが身を投げた。ケリーの双児の妹カーラがマンハッタンにかけつけたが、ケリーが夜毎男漁りをした上に死んだことがわかった。

カーラはまじめなケリーがそんなことをしていたとは信じられずに、いろいろ調べた結果、ケリーが精神科医のゲイツのところに通っていることが判明し、ケリーが二重人格だったと言われた。しかも、双児の妹であるカーラも同じトラウマをかかえていることから、二重人格である可能性があるという。

カーラは自分が二重人格であることを確かめるためにゲイツから催眠術を受けるが、それ以降、記憶にない奇妙な行動をとりはじめる。

しかし、どうやらカーラは二重人格などではなく、眠っている間になんらかの方法でゲイツにあやつられているのではないか?という疑問が浮上・・・。

カーラは自分の人生を取り戻すことができるのだろうか!?
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すっかりゲイツが犯人かと思ったら、さらに驚愕の事実がありました〜!びっくり!

それにしても、悪魔に憑かれたわけじゃなくても、他の人格にあやつられて行動しちゃうなんて、ほんと困る。
カーラやケリーなんて、寝ているうちにあやつられて、夜毎男をあさりにいくなんて、絶対赤面ものどころの話じゃないすよ。その間におかした犯罪は、全部自分がとらなきゃなんないしさー。

カーラが、「どうせ人をあやつる力があるのなら、もっといいことに使えばいいのに」って言ってたけど、ほんとだよ。
あやつっていた人物は、倫理観はともかく、すごいIQとすごいお金の持ち主だったので、なんだってできたはず。
さらに、カーラはすごい美人なんだから、この2つが合わされば、かなり何でもできるんじゃないかな〜?

それにしても、今回の話の結末は、やっぱり私の好きな愛が勝つ物語でした。すっきり。

くろちゃんの満足度(満点は★5つ):★★★
ISBN:4042827012 文庫 カレン・ホール 訳:飛田野 裕子 角川書店 1999/07 ¥987

LAに住む地元誌の記者ランダの元彼キャム・ランドリーが、不可解な死をとげた。実はランドリー一家は、自殺・死刑・事故でみんな亡くなっており、呪われた一家だった。そして残るはキャムの兄弟であり、世捨て人のジャックのみ。

別れても魂で結ばれていた気がしていたランダは、ジャックに会いに遠くアトランタまで行き、ジャックと恋に落ちる。しかし、実はジャックは一族を呪った悪魔に憑依されかけていたのだ。

一方、NYで活躍していたマイケル神父は、あることから悪魔払いにかかわり失敗し、アトランタに左遷されていた。そんなときに祖父がなくなり、祖父の秘密を知る。

そしてジャックの一族とマイケル神父の運命が重なり・・・悪魔との対決のときが・・・!
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20世紀最後の本格オカルトミステリーと書かれていただけのことがある、読みごたえでした。

キリスト的背景はまったくわからないけれど、とにかく私が好きな物語の展開〜愛が勝つ!〜がテーマになっているとことが、なんともいえないスッキリ感。

それにしても、悪魔にとりとりつかれるって、ホントたいへんだな〜。
殺人とかおかしてしまっても、とりつかれたって法律的に証明できないんだもん。
大々的に殺人なんかしちゃった後に、悪魔が去ってしまっても、絶対その後に苦労するよ〜。

でも、今回はある奇跡が、最後の最後までフォローしてくれたからいいけどさー。ふつう小説でそこまでフォローしてくれないことも多いから、本作はそのへんも気が利いててイイネ!と思いました。

くろちゃんの満足度(満点は★5つ):★★★
ISBN:4198613087 単行本 石田 衣良 徳間書店 2001/02 ¥1,680>

読んで字のごとく、まさに池袋ウェストゲートパークの外伝です。

マコトの代わりの主人公は、映像ディレクターの小峰というオッサンです。その小峰がごぞんじサルと共に、伝説のギャンブラーを探し出し、一世一代の大勝負をやらかします!

赤か黒か・・・男が再起をかけた大勝負にいどむ!
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池袋ウェストゲートパークの本家とは、ちょっと違ったスリル感があふれる作品でした。
本家と違ってシニカルな部分があまりなく、ほんとスピード感のあるエンターテイメントとして楽しめました。

オッサン版マコトの小峰もなかなか魅力ある男だったな。

くろちゃんの満足度(満点は★5つ):★★★
ISBN:4594036708 文庫 アン・ライス 訳:柿沼 瑛子 扶桑社 2002/08 ¥860

アン・ライスのヴァンパイア・クロニクルズの6作目。

「夜明けのヴァンパイア」からずっと登場し続けている永遠の美少年ヴァンパイア・アルマンの物語です。

15世紀、地元キエフで略奪にあい、ヴェネツィアに売られてきたアルマンは、ヴァンパイアのマリウスに助けらます。
他の少年たちと共に学問と芸術を習う生活を続けることになりますが、みずから進んでマリウスから闇の賜物を受け、ヴァンパイアに。
しかし平穏な生活はやぶれ、ローマのヴァンパイア軍団に襲撃され、サンチーノと共にヴァンパイアのカブンにて生活するように。その後、出世してレスタトと知り合ったパリのカブンを統率するようになります。

その他、今まで知られていなかったアルマンのこれまでの半生と愛情物語がビッシリ書かれた1冊です。
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レスタトのヴェロニカのベールがきっかけで、死んでしまったか???と思われたアルマンが、実は生きていた〜!

アルマンは、「夜明けのヴァンパイア」からず〜っと出続けていて、「ヴァンパイア・レスタト」ではかなりの重要人物として書かれていたわりには、影が薄かった気がしますが、やっとオール・アルマン物語が読めました。

宗教感はやっぱりよくわからないようなところがあったけど、アルマンが幸せな生活をいとなんだヴェネツィア時代の話では、かなりヴェネツィアの街が魅力的に書かれていて、グイッとひきこまれるものがありました。

波乱万丈の人生で、アルマンが何となく影をしょっているような暗さがあるのが、何となくわかりました。暗いところはあるけど、愛さずにはいられないキャラですね。

また、サブキャラとしては、女王事件のときに集結したヴァンパイアの一人・サンチーノがどういう人物(ヴァンパイアか^^;)なのかがわかって、スッキリしました。

そして、最後は、我らがやんちゃ王子・レスタトが・・・。
これ以上はかなりネタバレなので書きませんが、もう何度もその部分だけ繰りかえし、読んでしまいましたよ〜。うふ。

続刊が気になるところですが、今のところたぶん翻訳されているのはここまで??はやく読みたいですぅ〜。

くろちゃんの満足度(満点は★5つ):★★★★
ISBN:4104711012 単行本 柴田 よしき 新潮社 2004/10/21 ¥1,470

とある企業に勤める37歳独身女性・翔子は、ばりばり(死語)のキャリアウーマン(死語)。
でも周りからはお局扱いされ、上司からも部下からも一線をひかれた状態に、キレそうになり、オーストラリアのケアンズに旅に出た。

そこには、やっぱり疲れたツアコン・愛実、さらに同じツアーに一人で参加している女性・嶺奈がいて、この3人がある事件をきかっけに友だちになる。

翔子を中心にこの3人の一生懸命働く女性のホンネが書かれた、一冊です。
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この本もまた、ある縁があって手にとってみた本です。
同じ作家の「Close up you」は主婦生活のホンネみたいなものが書かれていましたが、今度は働く女性のホンネ。こっちのほうが、私にとって身近な題材なだけに、もしかしたらリアリティありすぎで興醒めかな?と思ったけど、案外そんなことなかったです。

ふつうのOL同士のグチの言い合いの、スケールがデカい版といった感じでしょうか?

翔子のすばらしいと思ったところは、最後に恋人ちっくになった部下を海外勤務に自らが判を押し、送りだすところです。
さみしいヤツなのに、さらにさみしくなっちゃうじゃんか〜。
でもそれぐらいのヤツじゃないと、男社会の会社でわたりあっていけないんだろーなー。

くろちゃんの満足度(満点は★5つ):★★★

Close to You

2004年12月11日 読書
ISBN:4167203111 文庫 柴田 よしき 文芸春秋 2004/10 ¥710
草薙夫婦は、都内にマンションを買い、お互いに働きながら優雅に暮らしていたが、ある日夫の雄大が失業。なかなか再就職先が見つからない中、雄大が何者かに襲われた。

それをきっかけに雄大は、妻に「専業主夫になってほしい」と頼まれる。それに承諾したわけではないが、とりあえず主婦業のようなことをこなしていると、だんだん主婦業やマンション生活のたいへんさに気付くように。
そしてその頃マンションで奇妙なことが起きはじめる。その後、なんと、妻が誘拐されるという事件まで起こってしまった!!

雄大は、次々とおそいかかるピンチを切り抜けていけるか!?

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あるきっかけがあって読んでみた本です。
なんとも生々しい生活が書かれていて、ふだんだったらあんま手にしないような本です。
だって生々しい生活ならおくっているから、何も本で読まなくても・・・って思うし。
ミステリ仕立てにはなっているけれど、マンションのペット問題やゴミ捨て問題、主婦の憂鬱・・・などなどが赤裸々に書かれています。

しかも、一見あこがれの生活をおくっている夫婦が、やっぱりこんなことになっちゃうんじゃ、夢もへったくれもないなって感じ。いや、本当は夢のある結末ではあるんですけど、私にとってはそう感じられなかったかな?

っていうか、この本、ほんとうは学ぶことが多すぎます。
わかっちゃいるんだけど、できることなら実践したくないことが山程書かれています^^;
たいへん勉強になりました・・・という一冊でした。

夫の雄大が、主婦業のたいへんさに気付くところは、なかなか小気味よかったかな?事件が解決した後、近所の井戸端会議に革命を起こす!って意気込んでいたところもおもしろかったです。

くろちゃんの満足度(満点は★5つ):★★☆
ISBN:4167174081 文庫 石田 衣良 文藝春秋 2004/09/03 ¥570

題名の通り、池袋ウェストゲートパークの3冊目。

ちょっぴり大人になったようなならないようなマコトが、またまた池袋で活躍します。

一話目は、表題と同じ「骨音」。コツオンと読むのかしら?ホネオトって読むのかしら?コツオンだと思うんだけど、どちらもシックリこない感じ。でも内容はシックリきます。
池袋でホームレスの骨が折られる事件がぼっ発し、マコトが捜査(?)に乗り出すことに。

二話目は、「西一番街テイクアウト」。サンシャインのアルパで知り合った小学生の女の子とそのお母さんを助けるために、マコト&マコトのお母さんが一役かう物語。

三話目は、「キミドリの天使」。池袋に新しい通貨をできたが、その通貨のニセ札事件がぼっ発!?

四話目は、「西口ミッドサマー狂乱」。マコトがなんと池袋を出て、千葉くんだりまで出張???そして恋!?だけどやっぱりケリは池袋でツケるのね・・・。
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実は、かなり前に読んだはいいけど、10月以降、F1見に鈴鹿に行ったり、仕事が忙しくて、ここに訪れていなかったので、ちょっと内容忘れちゃったです^^;
今、ぱらぱら本をめくってみたら、だんだん思い出してきたけど。

この一冊は、まさに池袋っぽいクールな一面もあるけれど、私がほほえましかったのは、マコトが小学生の女の子やホームレスとすぐに仲良くなってしまうところ。
そんな人をひきつける人間性みたいなのがニジミでているところが、物語をすごく彩っている感じがしました。
しかも、小学生の事件では、とくにキングのタカシまですっかり人情派になっているところが妙味。いや、元々タカシは男気のあるヤツではあるんだけど、あそこまでダイレクトなことはあまりなかった気がする。

くろちゃんの満足度(満点は★5つ):★★★

大奥

2004年9月29日 読書
ISBN:4048734946 単行本 小泉 すみれ 角川書店 2003/08 ¥1,470

時は江戸時代。江戸城の巨大ハーレム「大奥」。
TVドラマのノベライズです。(ほんとはこれの文庫版を読みました)

ただ一人の将軍のため、千人もの女性が働いていたという、華やかではあるが、別名「女の牢獄」ともいわれていた「大奥」。

幕末の時代、政略結婚にて13代将軍・家定に嫁いできた篤子と14代将軍・家茂に嫁いできた和宮を中心に、時代やしきたりに翻弄される女たちの様々な愛とドラマが綴られている。

*****

ドラマ「大奥」もけっこう好きだったので、読んでみました。
(ドラマは20時〜放映だったので、見るのに苦労した!!)
え〜〜と、ドラマとまったく同じでした〜。

まず、大奥って、秘密のニオイがするよね〜。
「大奥御法度」という制度があって、いろいろ決まりがあるんだけど、その一つに「大奥で起きたことを他言してはならない」ってのがあり、ほんとに明治になるまで謎につつまれていた世界だったみたい。
一般人や現代人から見たら馬鹿馬鹿しいような、しきたりもいっぱいで、閉ざされた世界で広大なドラマが繰り広げられ、もーゾクゾクきちゃうね〜。

しかも、江戸のど真ん中に、広大な敷地を持ち、年間予算は今でいったら200億円ぐらいかけてたみたい。
そんな世界が、うちからそう遠くない場所にあったなんて、ロマンだな〜〜。

政略結婚で嫁いできた篤子と和宮は、最初は大奥のしきたりに反感を持ったり、いぢめられたりしますが、やがて愛を見つけ、生きる道を見つける。そして、どんなにつらい目にあっても、人情をなくさないところにも、スゴいな〜と思いました。
絶対あたしみたいなヘナチョコには勤まりません。

街娘から大奥勤めになり、御台所付になった「まる」が、最後に幸せをつかめるところも、心あたたまる思いでした。

くろちゃんの満足度(満点は★5つ):★★★

秘密の友人

2004年9月28日 読書
ISBN:4042668011 文庫 アンドリュー・クラヴァン 訳:羽田 詩津子 角川書店 1994/03 ¥819

ニューヨークが舞台のサイコ・サスペンス作品。

精神科医コンラッドは、ひょんなことから、
とんでもない暴力殺人で起訴されたエリザベスを担当することになった。

心を閉ざしていたエリザベスは、次第にコンラッドに心を開き、
殺人を犯したのは自分ではなく、
自分にしか見えない架空の人物「秘密の友人」だと告白する。

しかし、その裏では、とんでもない陰謀がはりめぐられており、コンラッドやその家族にまで危険がせまる!

*****
非常にテンポのよい作品で、どんどんどんどんページが進み、あっという間に読み終わってしまいました。

謎が謎を呼び、縦糸が横糸とリンクしそうでしないあたりが、
読者の心をくすぐりつつ、しかもちょっとずつ伏線をちりばめてあるあたりが、ニクイね〜。

ほんとエンターテメントとしてのバランス感覚がすんばらしー作品でした。

しかも、登場人物に完全に感情移入しまくりだったあたりも、おもしろかった要因。
やっぱり登場人物が魅力的に書かれていることは、おもしろさのカギを握ってるよね〜。

悪人もある意味、すごく魅力的だったよ。

いちばん感情移入したのは、やっぱりエリザベスかな?
エリザベスは、本当は狂っていない部分もあるし、心やさしい人間。
でも一度狂っているという烙印を押されてしまったら、社会的にとことん狂っている扱いされて、それがさらに精神をむしばんでいっているあたり、もう歯がゆくて歯がゆくて。

くろちゃんの満足度(満点は★5つ):★★★★
ISBN:4488800955 文庫 マックス・マーロウ 訳:厚木 淳 東京創元社 1994/01 ¥651

南極の氷の中から、十万年前のオオナマケモノが発見されたが、その内臓に、古代の猛毒ウィルスがまだ生きていた!

ウィルスと共に内臓の一部が海に破棄されたことから、ウィルスに汚染された魚を食べた人間が汚染され、信じられないスピードで南半球から世界に伝染しはじめる!

アメリカの細菌学者メグやイギリスの保健省のピーターたちは、そのウィルス〜レッド・デスを食い止めるために奔走するが、ウィルスパニックは猛威を振るいながらジワジワと西欧世界に迫ってくる。

人類は、レッド・デスを撲滅することができるのだろうか!?

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実にスリリングな、パニック・ノヴェルでした。
レッド・デスに感染すると、高血圧になり、最終的には大出血&脳いっ血などで死亡します。
しかも、最初の徴候から死にいたるまで、あっという間。

単に病気だけでなく、研究サイドでも、政治サイドでもパニックが起こり、当然のごとく差別問題もぼっ発。

フィクションだってわかっているけど、日本にレッド・デスの驚異が迫ったり、日本に一人感染者が出たって書いてあると、「来るな〜〜!」って思いましたよ^^;

また、イギリスや西欧諸国では、国外から入る人に関して、全部血液検査をさせられており、日本でも実施しているハズみたいなことが書いてありましたが、なんとなく日本は対応がノロそうだな〜とか思ってドキドキ。

あと恐いなと思ったのは、パニックになると、情報が伝わらないこと。正しい情報が伝わらないのももちろん恐いけど、まったく電話がシャットアウトされちゃうって、マジで恐い。
すぐに飛行機に乗れないのも恐いな〜。

また、この問題が起こる直前に知り合った、メグとピーターの恋物語には、心あたたまるものがありましたが、こんな極限状態で恋したからこそ、情熱的になった気もするな〜^^;

くろちゃんの満足度(満点は★5つ):★★★

失われた世界

2004年9月20日 読書
ISBN:4488608027 文庫 コナン・ドイル 訳:竜口 直太郎 東京創元社 2000/00 ¥630

1912年に発表されたドイルのチャレンジャー教授シリーズのひとつ。

南アメリカアマゾン川流域で、古代生物〜恐竜が生きている世界を発見したチャレンジャー教授。
しかし、写真は水浸しになり証拠もない上に、あまりにも突飛な発見だったため、学会ではまるで嘘つき呼ばわりされていた。

そこで、反対派のサマリー教授、新聞記者のマローン、探検家のロクストン卿、そしてチャレンジャー教授が、実際に未開のアマゾン川流域の現場に行くことになった。

ドキドキワクワクの冒険物語。
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古典なんだけど、あんま古さを感じさせない作品です。

チャレンジャー教授とサマリー教授は、学問的にもその他でも水と油で、始終いさかいをおこしていますが、両方とも学者バカなところが笑えます。

失われた世界〜メイプル・ホワイト台地に辿り着くまでも、未開の地を行くわけですから、いろいろ危険もあり体力的にもキツい行程なのですが、この二人だけは学問に心をうばわれているので、全然ヘコたれません^^;

古典なんだけど、そんなの全然感じさせないユーモアが感じられました。

一行は、とうとうメイプル・ホワイト台地を発見し、恐竜も発見しますが、恐竜どころか、ミッシング・リングに相当するのではないかと思われる猿人類をしたり、その猿人類に襲われるはで、おおわらわ。

猿人類のボスがチャレンジャー教授にそっくりだったって、あたりも笑わせられます。

とにかく、壮大なテーマの中にちりばめられたユーモア具合がいい感じの小説でしたね。

くろちゃんの満足度(満点は★5つ):★★★★
ISBN:4334737447 文庫 柴田よしき 光文社 2004/09/10 ¥580

不倫、万引き、ストーカー、覗き、ネットトラブル、嫁姑問題、睡眠障害・・・と、一生懸命生きて恋を求めてやまない女性たちの、ちょっとずつ壊れた物語が9編おさめられている短編集です。

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連作でもない短編ってあんま好きじゃないから、自分から進んで買うことはないんだけど、今回はある縁があって購入し、読んでみました。

表紙に「傑作恋愛サスペンス」って書いてあったけど、読んでいる途中は、「全然サスペンスじゃないじゃーん」って思ったけど、だんだん読みすすめているうちに、ゾクゾクとするサスペンス感にあふれてきました。

なんとなくサスペンスって、火曜サスペンス劇場のイメージがあるんだけど、それって認識違いだな・・・と思った次第。

9編にわたって、壊れた女の物語が綴られていますが、最後に「この作品集の中に、あなたはいましたか?」って著者の言葉が書かれていました。

「あたし」はいたか???
具体的に同じようなことをしているわけじゃないけど、どれも自分にあてはまるような心苦しさを感じました。
シンパシーを感じるあたし、絶対になりたくないけどちょっとした運命のいたずらでなりえたあたし・・・などなど。

すごいハマった本というわけではないけど、機会がなかったら絶対に読んでない本だったので、読めてよかったです。

くろちゃんの満足度(満点は★5つ):★★☆
ISBN:4594035736 文庫  アン・ライス 訳:柿沼 瑛子 扶桑社 2002/05 ¥980

アン・ライスのヴァンパイア・クロニクルズの番外編。

『ヴァンパイア・レスタト』や『呪われし者の女王』でちらっと登場した、マリウスによってヴァンパイア化された美女のパンドラが主人公の物語です。

ローマ帝国時代に、ローマで貴族として生まれたパンドラ。若い頃人間のマリウスと知り合い恋をし、お互いひかれあいますが、その恋は成就せずパンドラは2回の結婚を経て独身に戻ります。その後政争が起き、単身ギリシャのアンティオキアに逃れることに。

その頃、パンドラは血にまつわる奇妙な夢にうなされるようになり、アンティオキアにてヴァンパイアになったマリウスと再会します。

そして、運命がパンドラをヴァンパイアへと導いていきます。

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実はこの本、ヴァンパイア・クロニクルズだと知らないで、以前に買って読んだ本。
単独で読んでもかなりおもしろかったんですが、ヴァンパイア・クロニクルズの本編を読んでから再読すると、登場人物や背景がわかって、さらにおもしろかったです。

例えば、この物語を編纂したのがディヴィッドであったり、ディヴィッドとの会話の中で、他のメンバーの近況が語られていたり。あら、ディヴィットさん、こんなところでこんなことやってたのね〜って感じ^^;

また、魅惑的だったのが、他の多くのヴァンパイアは、なにがなんだかよくわからないまま親ヴァンパイアによって作られていましたが、パンドラの場合は、何か運命に導かれるようにしてヴァンパアになっていったこと。
そして、ヴァンパイアになるまえから、ヴァンパイアになるような予感やシグナルを受けとっていたことです。

ヴァンパイア以外のことでは、ローマ女性の強さや現代女性に通じる精神のようなものも、魅力的に書かれていました。ローマやギリシャの生活もとても興味深かった。

さて、最後にパンドラは、傷付いたままニューオリンズで微動だにしないレスタトに会いに行くと書かれています。
その後がどうなるのか、楽しみ。

くろちゃんの満足度(満点は★5つ):★★★★
ISBN:4594041515 文庫 アン・ライス 扶桑社 2003/09/30 ¥1,000

アン・ライスのヴァンパイア・クロニクルズの番外編です。

レスタトをはじめとする、ヴァンパイアオールスターズとは何の接触もなく生きてきたヴァンパイア・ヴィットーリオの物語。

イタリアのトスカナ地方の田舎領主の息子であり、美少年のヴィットーリオは、領地で剣を習ったり、メディチ家の支配するフィレンツェで美術や宗教にふれながら、平和に暮らしていましたが、ある日、自分の城をヴァンパイア軍団に襲われます。

ヴィットーリオは女ヴァンパイアのウルスラに一目惚れされ、命を助けられますが、それ以外家族も全員殺され、全滅。その後、ヴァンパイアから逃げながらも、復讐を誓います。

ひょんなことから、守護天使が見えるようになったヴィットーリオは、天使に助けられながら、ヴァンパイア軍団をほろぼしますが、女ヴァンパイアのウルスラだけは助け、そして・・・。

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ヴァンパイアとしての物語ももちろんスリリングではあるんだけど、当時のイタリア〜フィレンツェの様子が、なんとも魅力的に書かれています。イタリア好きの私には、二重の楽しみ。

この物語は、ヴィットーリオが現代に、英語で書いているという設定ですが、その中の一文

「わたしの母語であるイタリア語については、わたしの名前“ヴィットーリオ”を口にするときの耳に心地よい響きを、またこの物語にちりばめられている他の名前の香水のようなその残り香を堪能してほしい。基本的にイタリア語はきわめて甘美な言語であり・・・」

と書かれていますが、もう大賛成〜!すごく堪能しました。
ヴィットーリオ・・・なんともセクシーな名前じゃあないっすか?(ジャンカルロも甘美な名だよね??)

物語に出てくる大画家フラ・フィリッポ・リッピなんか、名前も甘美だけど、行動も天才的で破天荒でさらにイタリア的で、なんともステキ。

くろちゃんの満足度(満点は★5つ):★★★
ISBN:4594023797 文庫 アン・ライス 訳:柿沼 瑛子 扶桑社 1997/11 ¥600

アン・ライスのヴァンパイア・クロニクルズの本編・最終話です。

主役は、我らがやんちゃ王子・ヴァンパイアのレスタトです。(一応)

今度は、レスタトはなんとストーカーにつけ狙われますが、そのストーカーとはヴァンパイアでも人間でもなく、なんと悪魔(駄天使)のメムノック。

レスタトは、自分が血を吸って殺した麻薬王のロジャーの幽霊と対面し、会話をかわすこととなりますが、その直後、悪魔メムノックと接触をはかります。

メムノックの要求とは、レスタトに地獄でメムノックの助手をつとめてほしいとのこと。

レスタトはそのオファーに珍しく躊躇しますが、やっぱりやんちゃ王子っぽく、一応メムノックと行動を共にすることになります。そして、天地創造の瞬間から、いろいろな時代をかけめぐり、天国にまで行ったりします。

さて、レスタトは、悪魔の助手になるのでしょうか??

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以下、ネタバレ激しいんで、これからもしかしたら読もうと思っている方は、気をつけてください。
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さて、今回はレスタトのヴァンパイアとしての活躍は、あまり書かれていません。
天地創造の物語、神や天使のこと、キリストについて・・・などが綿々と綴られており、レスタトファンとしては、イマイチな展開。

レスタトが時代を遡り、キリストと対面し、キリストの血を飲んだところなんかは、「マリウスや女王の血だけじゃなくって、キリストの血まで飲んだのかよ〜( ̄□ ̄;)!!」・・・とあきれながらも、レスタトらしさを感じましたがね。

結局レスタトはメムノックの助手にはならず、途中入手したキリストのベールを手に、地獄から命からがら脱出してきますが、その途中で、片目を失ってしまいます。

あぁ、隻眼のレスタトなんて、いたましい限りです。(後で目を取り戻せて、ほっとしましたけどね)

それよりもなによりも、レスタトの持ち帰ったキリストのベールに感化され、アルマンが宗教心に目覚め、自ら太陽の陽に身をさらし=たぶん死んでしまった!?

しかもしかもしかも、メムノックは、レスタトが助手にならずに逃げ帰るってことも計算済みだったらしく、ベールによってなされた人間界での宗教の意識革命をもって、メムノックの計画は成功だったらしーんです。

なんちゅーことをしでかしてくれたんだよ、メムノックのおっさーん。さすがは悪魔。

結局、レスタトは新女王であるマハレに監禁され、落ち着きを取り戻しますが、
「私はヴァンパイア・レスタト。そろそろ物語の人物から、伝説の人物へ変わらせてもらおう」ってことで、ヴァンパイア・クロニクルズの本編は、終了。

なんとも寂しい終わり方でしたね。

しかし、今度は『魔女の刻』シリーズとのコラボレートで、レスタトが復活するという噂も!?(これが正真正銘の最後の作品といっているらしいですが・・・)
我らがやんちゃ王子のレスタトの物語は大歓迎ですが、ってことはそれまでに「魔女の刻」シリーズも読破しとかなきゃ??

くろちゃんの満足度(満点は★5つ):★★★
ISBN:4198506159 新書 柴田よしき 徳間書店 2003/11/15 ¥940

京都に住むごく普通の女子大生・舞子は、ちょっとブラコン気味。近々兄嫁が赤ちゃんを生むことに憂鬱になっており、宝ケ池でデート中に「赤ちゃんがいなくなっちゃえばいいのに」と心の中で思ったことがきっかけで、その願いをなんとそのとき宝ケ池にいた「ピンクの竜」が叶えてしまう。

生まれた赤ちゃんは竜によって誘拐される。
どうやら竜が見えるのは舞子だけで、竜に誘拐されただなんて、誰に言っていいものやら……途方に暮れて、ボーイフレンドの陽介に打ち明けたら、今度は陽助も竜につれさられるハメになり、舞子はこの2人を連れ戻す!とかたく誓う!

そのころ竜を目撃した人たちは、実は舞子だけではなく、それぞれが竜を求めて行動を開始。
そしてそれぞれが運命と竜に導かれ・・・。

--------------
琵琶湖とその周辺の「竜」の伝説や環境問題や人間関係のあり方・・・いろいろなテーマが盛り込まれた物語でした。

登場してくる竜は、竜は竜でもなんとピンク色。は〜、なんともロマンチックです。
そのピンクの竜は、空をかけることもできるし、大きさや変化までできる能力の持ち主ですが、なんとタイムトラベルまでできちゃう!

途中、舞子たちは、そのタイムトラベルに巻き込まれ、一瞬戦国時代や古代でサバイバルをしなきゃなんないハメになるんですが、サバイバルもの好きの私のツボを細かくついてきます。

やっぱりいつ何時、何があるかわかんないから、歩きやすい靴とズボンは必需だな〜とか、ライターや十得ナイフ、それから鞄の中にちょっとしたおやつを入れとくには肝心だな〜・・・とか、あんまテーマに直接関係ないところまで、細かく楽しめました。

口が悪くてスパルタ教師のようなピンクの竜のキャラも魅力的でした。

くろちゃんの満足度(満点は★5つ):★★★☆
ISBN:4396207824 新書 柴田 よしき 祥伝社 2004/07 ¥1,260

戦争とウィルス汚染によって壊滅状態になった地球が舞台の冒険ファンタジー。

そんな中、密かに地下都市を築き暮らしていた人々がいたが、そこで暮らす人は、全部が女性になるようコントロールされていた。彼女達は、科学と宗教に統率され平和に暮らしていたが、その平和も終わりを遂げるときがきた。

一方地上では、食料や物資の不足にあえぎながらも、人々はなんとか暮らしを営んでいた。エアーズロックで暮らす人々は、ある秘密により食料に困ることはなかったが、略奪者が迫り、危機が訪れる。

地下都市に住む少女・流砂(ルイザ)と地上の少年・ロニーは、少し前まで何も知らない呑気な少年少女だったが、実は不思議な力によって心を通わせており、危機に直面し、それぞれ行動を始める。

地下都市の秘密とは、そして地上との関係とは、今後の未来とは・・・???
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終末後の地球に地下都市〜!?
しかも、地下都市には女しか住んでない???
いったいなぜ???・・・とかなり興味をそそられる出だしでした。

人工太陽やら、バースコントロール、そして睡眠学習・・・とかなりスーパーテクノロジーな社会ですが、彼女たちの一部は、どうやら超能力のようなものを使えるらしいんです。しかも、人工受精はするけれど、原始的に出産しているらしいんですよね〜。

なぜなんだ〜?どうなってるんだ〜?って主人公・流砂と共に謎をおいかけていくうちに、びしばしページが進む感じでしたね。

自分は平凡でなんの才能もないと思っている女の子・流砂が、本作1冊でかなりの成長をとげるところも、心地よかったです。

この物語は、どうやら壮大な物語になるらしく、続きになっています。今後の展開が楽しみ!

くろちゃんの満足度(満点は★5つ):★★★★

黒祠の島

2004年7月11日 読書
ISBN:4396331649 文庫 小野 不由美 祥伝社 2004/06 ¥690

作家の葛木志保がある日、よく調査を依頼していた調査事務所の式部に「何日か留守にするが、もし私が帰らなかったら、アパートを始末してくれ」という言葉を残し、失踪してしまった。

式部は葛木の言葉を「戻らなかったら、探してくれ」というメッセージだと解釈し、葛木を探し始める。

どうやら葛木は故郷である「夜叉島」に戻ったらしいが、その後の足取りはぱったり途切れていた。式部は閉鎖的で不思議な宗教の息づいている夜叉島で調査を続けるうちに、どうやら葛木らしき女性が密かに殺され、殺人が島民によって闇に葬られているらしいことを突き止めた。

式部は調査を続けるが、その他にも殺人が闇に葬られていることが発覚し、そして・・・。

*****

またまたやっちまった1冊。
前にノベルズで読んだのを、もう読んだって気付かず、もう1回文庫を買ってしまいました^^;
かなり内容も忘れていたので、もう1回楽しみましたけど。

式部は頭もきれ、かなり優秀っぽい調査員。
よそ者を受け付けない閉鎖的な島、古く不思議な宗教がいまだに息づいている島で、式部がひとつひとつ謎を解明していく様子は、とてもスリリング。

でも、最後の最後で、自力で事件を解決できてないところに、今回もまたもやズッコケました^^;

しかし「十二国記」シリーズなどで、ファンタジーの名手的なイメージのある小野不由美さんですが、推理小説もなかなかイケましたね。

くろちゃんの満足度(満点は★5つ):★★★
ISBN:4062747839 文庫 藤木 稟 講談社 2004/06 ¥880

近未来のアメリカ。空気は汚れ、遺伝子操作はあたりまえ、幻覚病なる病気が横行し、タブレットという情報テクノロジーがなくてはならない世界にて、ある不可思議な連続殺人事件が発生。

捜査を始めたFBI捜査官であり生まれつきエリートの因子を持つカトラー、空手の名手オカザキ、突撃レポーターの鳴海などが、次第に謎のソフト・ゴスペルや秘密の研究、宗教や人類の謎にまでせまっていく。

*****
まずは近未来の社会のハイテク社会っていう設定が、心おどりましたね。

ハイテクになりすぎた社会では、エリート達は家から一歩も出ずに仕事をこなし、それ以外の大多数はスラムという地域に隔離されています。

そもそも、エリートになるには、ある程度遺伝子操作がされている人間しかなれなくて、そんな人間の中からも幻覚病という病気が横行し、さらにそれを押さえるためのタブレットを飲む。。。
スラムに住む人間は、あるウィルスをうめこまれ、腐ったものでもなんでも食べれるようになり、その人糞はエネルギーとして還元されています。

人間の身体まで、今とはまるで違ってきているところが、うっへ〜。
そんな中でも、同棲中の彼と結婚や子づくりについて悩んでいたり、子どもや友だちを思う心がちらほら見えるところが、とても快いものに見えました。

本筋としては殺人事件をきっかけに、ハイテク世界経由、オカルトや宗教、人類の謎にせまっていき、ひじょーにドキドキな展開ですが、ひっぱりにひっぱっておいて、最後のオチがなにがなにやら、全然わかんない。
抽象的すぎて、私には理解不可能だったよ。

くろちゃんの満足度(満点は★5つ):★★☆
ISBN:4101103216 文庫 須川 邦彦 新潮社 2003/06 ¥420

明治31年に、日本の帆船・龍睡丸が遭難。
乗組員16人全員が、珊瑚礁の小さな無人島に漂着して、サバイバルする物語。

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大好きな小説『「十五少年漂流記」に勝る、感動実話』って歌い文句にひかれて、ついつい購入してしまった1冊。

どちらかというと、ノンフィクションってあまり好きじゃないんだよね〜。「十五少年漂流記」に目を奪われて、「実話」ってところを見のがしていたみたい(;^_^A

無人島にて、いろいろ工夫しながらサバイブしたってことが、実話だと思うと、すごいな〜〜と思いました。

そして、よき時代の日本男児の粘り強さや勤勉さ、海の男のあくまでもポジティブで希望を失わない姿には、かすかに感銘を受けました。

ただ、あまりクライマックスがないままに、終わっちゃった感じ?実話なんだから仕方ないけどさ。
私にとっては、イマイチ不完全燃焼な小説でした。

くろちゃんの満足度(満点は★5つ):★★

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